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【利益安定化へのロジック】単価の高さがもたらすデメリット

おはようございます。
パグです。

この記事では、単価の高さがもたらすデメリットについてお伝えします。

本題に移る前に、今回なぜ上記のテーマを取り上げたのか、その経緯をお話しします。

先日、私と全く同じスキーム(中古店舗せどり+FBA)を実践しているのに儲かっている実感が無いというせどらーさんから相談を受けました。
実はこの方、コンサルを提供しているほどのせどり熟練者です。
以下Aさんとしてお話しします。

Aさんからの相談内容の要約

目標は月利30万円。
現在専業でせどりに取り組んでおり、3ヵ月に1回程度は目標を達成するが、他の月は目標の半分にも達しないことがほとんど。
年間ベースで考えると前年の達成率は40%で、5年間続けてきたが預金も底が見え、そろそろ潮時と考えている。
続けたい気持ちはあるので、何とか改善に導く知恵を拝借できないか。

専業せどらーになってから目標に達しないことが多く、何が悪いのか分からないといったお悩みです。
悲壮感溢れる文体で、これは一大事だと直感しました。
せどり歴は私より長く、ご年齢も上の方でした。
若輩者に弱みを見せるのはとても勇気の要ることだと思います。
意を決していただいた相談内容なので、「必ず解決に導くぞ!」と私も覚悟して、最優先事項として丸2日間を検証と改善策の提案に充てました。

その内容が多数の方が当てはまるであろう問題だったので、今回のテーマに取り上げました。
(問題は無事に解決したので、記事にさせていただくことはAさんには快諾いただきました。)

問題には原因があります。
原因を特定することで、問題は解決へと導いていけます。

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それでは本題に移ります↓↓

問題の把握

一概に問題と言っても、問題自体が不明瞭だったり、本当に解決すべき問題を自覚していないケースがとても多いです。
なので、まずは問題をしっかり把握することが必要です。

問題というと、例えば、
・売上が安定しない
・利益率が低い
・仕入れが出来ない

などなど。

今回Aさんの相談内容は、「儲かっている実感が無い」ということでした。
「儲かっている実感が無い」は悩みであり、実は問題ではありません。

純粋に利益が出ていないなら、「利益が出ていない」と直接的な表現になるはずです。
しかしAさんの場合、「本来なら(数字的には)儲かっているはずなのにそうではない」的なニュアンスが感じ取れます。

「儲かっている実感が無い」という言葉からは様々な事柄が連想されます。
・売上は充分に立っているのに実入りが少ない
・想定していない隠れた出費が存在している

など。

これはあくまで仮説なので、本当の問題は何か、実情を詳しく聞きながら把握していきます。

・売上額:月平均売上70万円
・利益率:月平均利益率45%
・キャッシュフロー:入金50万円、出金30万円

問題はハッキリしました。
売上も利益率も問題ありませんが、キャッシュフローに問題があります。
入金50万円、出金30万円だと差引き20万円、これでは月利30万円の実感は得られないはずです。
今回の問題は「キャッシュフローが悪い」です。

では次になぜこんなことが起こるのか、問題の原因を追究していきます。

原因の追究

問題には原因が1つ以上存在しています。

例えば、

問題:キャッシュフローが悪い
⇒原因①:経費がかさんでいる
⇒原因②:返品率が高い
⇒原因③:単価が高い

などなど。

Aさんケースでは、「単価が高い」に原因がありました。
実例からどのように単価の高さがキャッシュフローの悪化に繋がっていくのか説明します。

Aさんの状況としては下記の通りです。

・在庫数は600件
・在庫は平均単価(平均販売額)5,000円程度で構成されている
・回転率は0.3(1ヵ月で在庫の30%が売れている)
・返品率は2%

単価の高さが悪影響を及ぼす理由の一つとして、中古せどりは返品率が新品せどりより高いことが挙げられます。
特に、動作不良を起こしやすい家電や、付属品が多く欠品が生じやすいおもちゃなどのジャンルを多く扱っている場合、返品リスクは高まります。

中古せどりでは、どれだけ注意しても返品は必ず一定の確率で発生します。
返品率が一定の水準を上回っていると危険ですが、返品が発生すること自体は特に問題ではありません。
Aさんの場合、返品率は2%程度で問題の無い水準です。
返品リスクを補って余りある高い利益率が中古せどりの神髄です。

しかし、単価が高すぎる場合、返品率の問題を超えて、仕入額の損失が問題となります。

利益率45%で月利30万円を作るには売上として最低67万円必要です。
(販売手数料以外の経費は便宜上ここでは考慮しません。)
売上67万円を単価5,000円で作る場合、134件の販売が必要になります。
返品率2%の場合、月当たり2.68件=3件となるので売上はマイナス15,000円になりますが、これ自体は大した問題ではありません。
なぜなら元々その売上は無かったというだけで、損失では無いからです。

しかし、利益率45%の場合、原価率は30%程度になりますが、平均単価が5,000円だと仕入原価は1,500円になります。
月3件再販売不可の返品となると、キャッシュフロー上4,500円のマイナスとなります。
これが問題なのです。

「大した額じゃないじゃん」と思うかもしれませんが、単純な4,500円分のマイナスに加え、そのマイナスの補填その仕入れ分で作れるはずだった売上を別の仕入で作らなければならないなど、悪影響は想像以上に大きいです。

単価が高いということは悪影響が増大するリスクを大きくしていることに他ならないということです。

解決策

前述の状況下での問題点は2つです。
①月利30万円を目指す中古せどりでは、平均単価5,000円は高すぎる
②平均単価を適正値に修正した場合、在庫数が不充分

回転率は0.3あれば充分です。

単価の高いと売れた場合に目標販売額への到達が早いですが、販売在庫額(在庫としての販売額)の充足感を感じてしまい、仕入件数を疎かにし「取扱件数の少なさ」に繋がってしまいます。
取扱件数が少ないと1件あたりに対するリスクが集中します。

回転率と返品率が問題ない水準なら、取扱件数を増やすほど返品リスクを分散できます。
取扱件数は在庫数に比例して増えていきます。
つまり、単価を下げて仕入件数を増やし、在庫の拡充に動くのが、今回のケースでの最善策です。

Aさんの場合、

修正前:単価5,000円×在庫数600件=販売在庫額300万円

修正後:単価3,000円×在庫数1,000件=販売在庫額300万円

この状態を目指すよう提案しました。
加えて、取扱ジャンルをなるべく分散させるなど他にも細かなアドバイスしましたが、主な指摘は以上です。

上記の単価3,000円は最大でも3,000円で、低ければ低いほど良いです。
私の場合、平均単価は2千円台前半です。
仕入単価は上限1,500円(税抜)で設定していますが、めったに1,000円を超えることはありません。
よほどの利益率と売れ行きの良さでないと、高額な仕入をしないようにしています。
基本800円(税抜)までを意識し、平均仕入単価は500~600円台といったところです。
それほど仕入単価のリスクは怖いものです。

あとがき

以上、単価の高さがもたらすデメリットでした。

せどりを始めると利益や手取りを増やすことばかりに目が行きがちですが、必ず発生する損失を可能な限り削減することやマイナス自体を出さないことを意識した方が効果が高いことが良くあります。
ビジネスに関しても全く同じことが言えます。
断片的には取るに足らないと思っている数字でも、後々に波及し想定以上に全体に影響していくことを頭に留めておいてください。

後日談ですが、Aさんは上記提案後3ヵ月で見事キャッシュフローを改善し、「今後もせどりを続けて行けそうです」とお言葉をいただけました。
勇気を出してご相談いただいたことに力になれて私としても本当に嬉しく思います。
信じて付いてきていただきありがとうございます。
これからも応援しています。

せどりで悩んでいる方はお気軽にお問い合わせからご連絡ください。
今のところお金を取るつもりはありませんが、お酒が飲める方なら飲みに付き合ってもらうかもしれません。笑

これからせどりを始めようとしている方や、既にせどりに取り組んでいて改善していきたい方の参考になれば幸いです。

それではまた、別の記事で。
ご覧いただきありがとうございました。