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せどりの在庫数が収益に及ぼす影響【収益安定化+利益最大化を両立するには!?】

せどりにおける在庫数の考え方や収益との関係性、また在庫数をどのように扱えば利益が最大化できるのか、元経理マンのプロせどらーが徹底解説します。

おはようございます。
パグです。

この記事では、せどりの在庫数についてお伝えします。

物販の世界では在庫数はとても重要な指標です。

せどりも物販の一つの形態なので、在庫数について考えないのは軽率と言わざるを得ません。

収益の安定性に関わる論点なので、せどりの稼ぎに波があって困っている方はぜひチェックしてみてください。

それでは早速いきましょう↓↓

在庫数とは

在庫数(在庫件数)とは、現在出品していて出荷を待っている商品の件数のことです。

仕入れた商品は売れて手元を離れるまでには一定の期間を要します。
その期間中に自宅ないし倉庫で保管している状態の商品がいくつあるかを在庫数(在庫件数)と言います。

ここで注意してほしいのは、在庫数は単に保管している商品を数えるだけでは意味がありません。
重要なのは、出品中であることです。

つまり、販売媒体に掲載していて、売れたらいつでも発送できる状態の商品をカウントする必要があります。

保有数:1,000件
出品中:800件
未出品:200件

在庫数:800件

未出品の商品は存在していないのと同じです。

なぜなら出品しない限り売れる可能性はゼロだからです。

何ならその仕入代金だけ現金が消えているので損しているようなものです。

FBAなど販売代行を利用していると、倉庫への納品でダンボールがすかすかだと効率が悪いので商品が集まるまでステイということもありますが、原則は即出品です。

シンプルに面倒くさくて出品作業を怠っている人は頑張りましょう。笑

在庫数が教えてくれること

まず、なぜ在庫数を計測する必要があるのか、その理由は収益を安定させるために必要だからです。

どんな動機でせどりを始めるかにもよりますが、

「たまにポンと稼げれば万々歳!」という人より

「月々これだけ稼げれば良いな」という人の方が多いのではないでしょうか。

後者にとっては収益を安定させることが非常に重要になります。

そして、収益を安定させるためには以下の2つが求められます。

・売れ行きの操作
・収益の予測

売れ行きを把握することで在庫数全体の操作が可能になり、在庫数の如何によって今後得られる収益の予測に繋がります。

「収益」と「利益」の違い

言葉は似ていますが私は以下のニュアンスで使い分けています。
収益:稼ぎ。入ってくる現金。
利益:資金効率。成果の良し悪し。

売れ行きの操作

商品を仕入れる際に、売れるまでどれくらいの期間を要するか、ある程度の予測を立てます。

この商品は2,000円なら3ヵ月以内に売れそうだな
最悪でも1,500円なら半年以内に売れるだろう

そして実際に出品からどれくらいの期間で売れたか、もしくは売れずに経過しているかを実績として把握します。

予定通り3ヵ月以内に売れた
半年経ったけどまだ売れない

予測と実績を比較することで、リサーチの成否を確認でき、今後の仕入に活かすことができます。

2,000円で予測通り3ヵ月以内に売れたからリサーチは間違っていなかった!
1,500円でも半年以上売れなかったからリサーチが甘かったかな…

これを予実管理(予測実績管理)と言います。
※本来は予実績管理という経理分野の言葉として使われています。

また、経過期間ごとに値下げや返送・廃棄など次のアクションへの参考にもなります。

3ヵ月経ったから1,800円に値下げしてみよう
半年経っても売れていないから1,000円にして売り切りを目指そう

こうした計画を実行するには、単に保管しているだけでなく、しっかり出品して経過期間を把握することが必要というわけです。

そして、一つ一つ予実管理とネクストアクションを繰り返していると、在庫数全体としても大きな流れのように自身が思い描いているような売れ行きに近づいていきます。

在庫の5割が予測通りに売れ、2割が早く売れ、2割が遅く売れ、1割が売れずに残っている

在庫数1,000件なら3ヵ月以内に700件は回転し、300件は在庫に残る

目標に対して在庫数の推移が早いか遅いかで、既存在庫の値下げによる回転スピードアップや、強気な価格設定での回転スローダウン、今後の仕入件数を増減させるなどの対策があり、全体数の操作をすることができます。

つまり、在庫数の推移を見守ることで売れ行きをどのように操作すべきかが把握でき、結果に応じて対策を打つことで次章の収益の予測へと繋がります。

収益の予測

結論から言うと、在庫数が分かれば今後得られる収益の概算を予測することができます。

私を例とするなら、

在庫数が1,000件あれば

翌月の収益(手取り)は30万円

という予測が立てられます。

在庫数1,000件を維持できているので翌月も30万円に到達することが予測できる。

こうした予測を可能にするためには、売れ行き(回転率)・利益率・平均単価を目標とする水準に維持する必要があります。

また私の例でいうなら、

売れ行き(回転率):販売数300~350件(回転率0.3)

3ヵ月~6ヵ月以内に売れることを想定し、月に300~400件を目標に仕入れる。
結果的には5割は3ヵ月以内、3割は6ヵ月以内、1割は9ヵ月以内程度で売れ、残り1割は不良在庫化するか、プレミア化狙い。

利益率:40~50%

一商品当たりで見ると30%台の高回転商品や50%超の一撃商品も当然仕入れるが、ボリュームゾーンは40%台。
結果的に平均利益率40~50%に落ち着く。

平均単価:販売単価2,500~3,000円、仕入単価500~600円

仕入値が高過ぎると売れ行きが悪くなるし、売れなかった場合に損失が大きくなるので、仕入値は税込み55~1,650円が基本。
安いに越したことは無いが薄利過ぎると件数が多く必要になるので作業が大変。

上記水準を守っていれば、在庫数に応じた収益が翌月には得られています。

売れ行きが3ヵ月~6ヵ月以内に売れることを想定している、と聞くと「遅くない?」と違和感を感じる方は少なくないのではないでしょうか。

実は回転が早すぎる(想定以上に早く売れる)ともっと高く売れたかもしれない「機会損失」を冒している可能性があります。

出品してすぐに売れてしまうということは、本来その商品が持っているポテンシャルを活かしきれずに安売りしていることに他なりません。
数十件なら影響は小さいですが、このことに気づかず数百件、数千件と高回転させていれば機会損失は何十万円、何百万円と莫大になります。

早く売れた方が安心だとは思いますが、機会損失を回避するためにも販売想定期間をある程度長く持ち、在庫に残しておくことが利益最大化のためのコツです。

そのためにも、直近の収益中期的な収益を両立できる適正な在庫数の確保が重要になります。

当然ある程度の波はありますが、前述した売れ行きの操作を施すことで自然と想定している収益に落ち着いていきます。

つまり、達成したい収益に見合った在庫数を維持していれば収益は安定するということです。

なので充分な在庫数がある人は減った分だけ補充すればOKですが、せどりを始めたばかりの人はすぐに売れてしまう件数以上の仕入をして在庫数の底上げを頑張らなければいけません。

ここを突破できるかどうかが収益安定への鍵となります。

在庫数が多いケース・少ないケースの問題点

前章を理解していれば、どれくらいの在庫数があれば目標を達成できるかは個人差があるということはお分かりになると思います。

私と同じ利益率・売れ行き・平均単価なら、

在庫数1,000件⇒月30万円

在庫数500件⇒月15万円

のように比例して簡単に計算することができます。

一方、在庫数を増やせば増やした分だけ収益が上がるのか、逆に減らせば減らした分だけ収益が下がるのか、という点についてはまた考慮が必要な要素があります。

それは、

・保管料
・固定費

になります。

特にAmazonでのFBA販売を想定している場合は顕著に影響があります。

在庫数が多いケースの問題点:保管料

保管料は、在庫を保管しておくためにかかる費用のことです。
自宅保管ならお金はかかりませんが、倉庫を借りたり、FBAでAmazonの倉庫を利用する場合は必要になります。

※自宅保管の場合、在庫数が少ないなら影響はほとんど無いですが、家賃を払っているケースでは保管スペースにも経済的負担が発生していることは忘れてはいけません。
商品を置いている場所はデッドスペースなので、その分狭い家に高い家賃を払って住んでいることになります。

私の場合では、在庫数1,000件に対してFBA保管料は月に1.5万円程度です。
さらに、9ヵ月以上在庫として倉庫に残っている商品は長期保管料がかかり、月に0.2万円ほどかかっています。
なので毎月2万円弱が保管のためのコストとして発生していることになります。

長すぎる期間在庫に残っていると必要以上の保管コストが発生し、収益を食いつぶしていくリスクになり得ます。

そして在庫数を増やすことは保管コスト増大のリスクを単純に上昇させます。

順調に売れていけば影響は少ないですが、物販に絶対はありません。

最適なコストと利益のバランスを取れる在庫数に落ち着かせるようにしましょう。

個人的には保管料は売上の3%以内かなと思います。

保管コストがあるからこそ楽して安定的かつ最大の収益を上げられているので、2万円程度なら私は特に高いと思いませんが、中には「そんなにかかるの!?」と感じる方がいるかもしれません。

この点についても、前述した「機会損失」の考え方を思い出してください。
ある程度の在庫数を保持しているからこそ生み出せている利益があります。
正確に計算することはできませんが2万円くらい余裕でペイできています。

一方、保管コストが今の倍以上になるとさすがに稼ぎが悪いと感じざるを得ません。
そのような事態にならないように、売れる見込みの無い商品の返送や廃棄・損切り(赤字覚悟の値付け)などを定期的にして在庫数を圧縮するという保管料の増大を防ぐための対策があります。

これを不良在庫の管理と言います。
廃棄や損切りと聞くと失敗の印象を持ちますが、意外と経済的な悪影響は小さく、そのままにして保管料が増大するより圧倒的に有益です。
物販ではセオリーなので恐れずに踏み切ることが大切です。

在庫数が少ないケースの問題点:固定費

固定費は、システム利用料など毎月または毎年かかる定額の費用のことです。

私の場合、

Amazon(大口出品):約0.5万円
出品サポートツール「セラースケット」:約0.5万円
リサーチツール「Keepa」:約0.3万円

が毎月の固定費としてかかっています。

上述の保管料は在庫数に応じて変動するので固定費ではないのですが、ある程度の在庫数を確保することで利益最大化と収益安定化を図るなら保管料も固定費に似た性質を持つことになります。

なので私の固定費としてはシステム利用料+保管料で約3万円が月々掛かっていることになります。

月3万円程度なら月30万円以上を最低ラインとしている私にとっては微々たるものですが、在庫をあまり持たず比較的少ない収益を目標としている場合は注意が必要です。

なぜなら、収益が小さいと固定費は定額である分、固定費率(固定費が売上に占める割合)が大きくなってしまうからです。

固定費:3万円

売上:100万円⇒固定費率:3%
売上:50万円⇒固定費率:6%

売上が半分になると割合で言うと倍の固定費が掛かっていることになります。

つまり、固定費は売上に応じて増減しないので、収益が大きくなれば有利に働き、逆に収益が小さくなれば不利に働くということです。

固定費率が高いと損益分岐点(儲けが初めて生まれる売上)が高くなるので収益化が遅くなります。

そのため、固定費がかかるビジネスモデルでは固定費をものともしないレベルの売上を継続して上げることが必要になります。

とはいえ、月3万円の固定費は他のビジネスモデルと比べると非常に軽いので、本気でAmazonせどりで稼ごうとしている方にとっては心配無用です。

一方、月数万円を目標としている場合はかなり重いと思うので、他のビジネスモデルを探した方が良いかもしれません。

せっかくAmazonせどりを始めるなら目標をもっと高く持ちましょう。笑

まとめ

収益の安定化・利益の最大化を両立するためには最適な在庫数の確保が必須!

在庫数から今後得られる収益を予測することができる!
⇒そのためには利益率・売れ行き・平均単価を一定の水準に維持することが必要!

在庫数を操作できるようになれば収益が安定する!
機会損失を回避できるように販売想定期間は長めに!

保管コストがかかる場合は在庫数の増やし過ぎないように不良在庫を管理!
売上が小さいと固定費が重くなるのでそれなりの売上を目標に!

以上、在庫数についてでした。

数ある事業データの中でも在庫数は最も分かりやすい指標です。

見方に慣れてくれば、ぱっと見の在庫数だけで「仕入れをどうすべきか」「価格改定すべきか」など適切な動き方を判断できるようになります。

ご自身の目標に見合った在庫数をなるべく早く知ることから始めましょう!